親父100まで生きるってよ

書くことで 自分の心も 保ちたい

母の見舞いと外食

母は再入院しましたが、1ヶ月くらいで病院が合わない?とか、理由はよくわかりませんが、親戚の勧めで、家から車で2時間くらい離れた病院に入院することになりました。以来、母は現在に至るまで、その病院でずっと通院でお世話になっています。

ある日、父から「お母さんの病院に行ってみるか?」と誘いがあったので、付いていくことにしました。父は母の病気に関することは兄ではなくなぜ僕を誘うのか。この頃はまだわかりませんでしたが、まあ精神病院自体、入ったこともなかったし、どんなところかひとつ見ておこうかと思っていました。

うちの家はもともと貧乏だったらしく質素に暮らしていたので、家族で旅行とかもありませんでしたし、外食に行ったことすらありませんでした。だから僕は今日、初めて外で食事をすることができるわけです。それだけで何かワクワクしていました。

仕事一筋の父の愛車は軽四トラックで、乗り心地の悪い助手席で揺られて約2時間。片側2車線の道路と信号に並ぶ車の数を見て(大きい街やなあ)とか思ったのを覚えています。

病院は当時けっこう古い建物でした。入口から入ると外来患者さんが目に入ってくるのですが、皆おとなしく座っている。静かだ。そして待合の隅にでっかい灰皿。その周りにいっぱい人が座って、皆黙って煙草を吸っていたのを覚えています。

受付に挨拶をして母の病室へ。階段が薄暗くて怖かった記憶があります。母は机で何か作業をしていました。「早く治して帰ってきて」とか母に言ったのを覚えています。「ゆっくり休んで」ではないあたりが、やっぱり子供ですよね。

同じ部屋に入院している人が何か話しかけてきましたが内容は覚えていません。ただ、なんかすごくフレンドリーやったな、みたいな記憶が残っています。

 

帰りにラーメンを食べました。「うまいか?」「うん!」すごく美味しかった記憶があります。

健康な父と外食をしたのは、これが最初で最後でした。